特集「DXからSX・GXへ」

計測展2022 OSAKAで注目
SX・GXにつながる先進技術に出会う

いまや多くの企業が推進し、事業や働き方の効率化や企業変革に取り組む「DX」。さらにサステナブルな企業価値の向上を目指す「SX」や「GX」の視点を取り入れる企業も出てきています。計測・制御が支える「製造DX」でも企業経営や事業戦略、製品づくりにSX・GXの視点は欠かせません。

連載コラム「DXからSX・GXへ」では、今回の計測展で展示されるものの中から、カーボンニュートラルの実現に寄与し、新しい価値を生み出し、今後のビジネス拡大が期待される技術や製品を日経BPでセレクト、連載形式で紹介していきます。

「もっと製品のことを詳しく知りたい」「技術者、企画担当から話を聞きたい」という方は、ぜひ計測展会場にお越しください。

SX(サステナビリティトランスフォーメーション)=企業が『持続可能性』を重視し、企業の稼ぐ力(競争優位性)とESG(環境・社会・ガバナンス)の両立を図り、経営の在り方や投資家との対話の在り方を変革する取り組み。

GX(グリーントランスフォーメーション)=政府が掲げるカーボンニュートラルの実現に向けて社会システムそのものを変革する取り組み。

Key Product & Key Person 第6回

耐圧防爆形 ミスター省エネ*対応無線通信ユニット オーバル

防爆エリアの温度や流量など「見える化」で持続可能な社会を実現

セイコーインスツル社と協業し、無線ネットワークシステムを展開するオーバル。さまざまな現場での温度や流量を計測する機器などを手掛ける同社の技術が生かしたのが耐圧防爆形の新製品だ。同社でマーケティングを担当する木所大嘉氏にその機能や用途について聞いた。

オーバルが開発した耐圧防爆形ミスター省エネ対応無線通信ユニット

――ミスター省エネとはどのような製品ですか?

ミスター省エネはセイコーインスツル社がおよそ10年前より、省エネ市場で広く展開してきた920MHz総合無線センサーソリューションです。温度・湿度・照度・CO2・電力・電流・パルス・人感・バイタル など様々な現場情報を一元収集できます。シネコンと呼ばれる映画館のおよそ9割でミスター省エネを用いた空調制御システムが導入されています。

非常に拡張性に優れたシステムであり、センサーの増設や通信範囲の拡大、上位システムのグレードアップが可能です。お客様のご要望に応じ、機器選定から上位システム開発・現場構築までオーバルがワンストップで対応いたします。スモールスタートで始められる簡易パッケージも多数ご用意しています。

オーバルとの協業により、2020年に無線流量センサーにも対応しました。これにより、今まであまり導入されていなかった工場などでも採用が進みました。

――オーバルとの協業で工業分野への参入が可能になったわけですね。

子機と親機を無線でつなぎ、さまざまな現場の情報を一元収集・分析して、エネルギー管理(電力やユーティリティ流体の使用量、設備稼働状態や稼働数の最適化など)、状態監視(安全・安心、プロセスの可視化)、保全(設備保全の最適化・予兆保全)など、さまざまな工程で活用できます。ハイスペックな工業用無線は高価なものが多く、見える化などのライトな用途では使いづらい面もあります。

さらに2.4GHzを採用しているため通信距離が短く、通信経路の信頼性を確保するために、規模が大きくなるほど多数の中継器が必要で、大規模な施設では導入コストが高価となってしまうことが考えられます。ミスター省エネのような手軽に導入できるソリューションへの関心は高いと見ています。

――さらに新製品で防爆形を投入されましたね。

オーバルの技術を生かして防爆タイプを開発して、石油・化学工場など防爆が必要な各種工場でも使える仕様にしました。無線のアンテナを筐体の中に組み込んだ耐圧防爆構造にすることで、メーカーを問わず、色々な耐圧防爆機器との結合ができ、汎用性が高くなります。ここはこの製品の強みになります。

製品ラインアップとしては「流量パルス入力ノード」、「アナログ入力ノード」、「温度入力ノード」、「Modbus通信ノード」、「ルータ(中継器)」の5機種をラインアップしています。
これだけのラインアップがあれば、流量信号をはじめ、温度信号や圧力信号などを含め、工場内のほとんどの現場情報を無線で収集することができます。

耐圧防爆形アナログ入力ノードを既設のレベル計に接続してレベル情報を取得する例

――この製品のマーケティング担当として、課題はありますか。

無線システムというと、「設定が面倒」「使いづらいのでは?」といったイメージを持たれている方もいます。導入にあたっては、機器の選定から上位システムの開発、現場構築まで弊社がワンストップで対応します。「お試しで使ってみたい」という方には、無線親機と無線子機、無償の監視アプリがセットになった、簡易パッケージも用意しています。

ミスター省エネを導入することで、エネルギーの使われ方を見える化して、省エネにつなげてもらえるようにソリューションを提案していきたいと思っています。

――今回の計測展では何を期待していますか。

いろいろな産業の方にもブースで実機を見ていただきたいですね。最近では農業分野でも利用が出てきていますので、さまざまな業種で使いみちのある製品だと自負しております。(構成/石井和也)

* ミスター省エネはセイコーインスツル株式会社の登録商標です。

「耐圧防爆形でさまざまな現場での活用を広げたい」

Key Person

木所 大嘉 Kidokoro Hiroyoshi

株式会社オーバル マーケティング部 戦略企画グループ 課長

大学では理工学部で電気工学を学ぶ。1994年オーバル入社。システムエンジニアリング部で流量計を使用した設備、システムの設計・製造業務に携わり、その後、マーケティング部で販売促進戦略に関わる業務を担当。ミスター省エネでは、セイコーインスツル社との提携にもかかわる。

会場に行けばキーマンに会える!

もっと詳しく製品のことを知りたいという方へ。
会期中、木所さんがオーバルの展示ブース(小間No.18)にいます(不在や商談中の場合はご了承ください)。新しい事業開発や共創のチャンス。ご希望の方は、ブースでお声がけください。